モトリーフール米国本社 – 2025年7月13日投稿記事よりS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、人工知能(AI)に特化したサーバーメーカー、スーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI](以下、スーパー・マイクロ)の株価は、2025年上半期に60.8%上昇しました。スーパー・マイクロは2024年下半期に空売りを浴び、その後10月に監査法人が辞任するという、やや混乱した時期を経て2025年を迎えました。## BDOが決算を承認し、スーパー・マイクロ株が急騰2025年2月にスーパー・マイクロの新たな監査人であるBDOインターナショナル(以下、BDO)が、過去3年間の決算書を承認しました。このことが同社の信頼性が認められたようにみえたこと、5月~6月にAIの成長に対する楽観論が台頭したこともあり、年初の低バリュエーションから株価を大きく押し上げました。会計監査に当たってBDOは、スーパー・マイクロの内部管理と手続きに関して否定的な意見を提示しました。しかし、2022年、2023年、および2024年度の取引を実際に確認したところ、BDOはスーパー・マイクロの財務諸表について、「全ての重要な点において、会社の財政状態を適正に示している」と述べました。つまり、スーパー・マイクロは、米国の上場企業として事務手続きの厳格さがやや欠けていたものの、不正があったという最悪の告発に対しては、明らかに問題はないとされました。その結果、株価は2025年2月初めに66ドルを超える水準に急騰しました。## エヌビディア[NVDA]のブラックウェル半導体の遅れの影響を受けたしかし、株価上昇は短命に終わりました。トランプ米政権による関税戦争の影響を受けたためです。スーパー・マイクロは米国を拠点とするサーバーメーカーであることを誇りにしていますが、部品のサプライチェーンやパートナーである半導体メーカーは、非常に国際的です。そのため、スーパー・マイクロは多くのAI関連企業と同様に、株価が再び下落しました。実際、スーパー・マイクロは、過去2回の四半期決算で売上げの伸びが予想を下回り、やや期待外れに終わりました。それでも、増収率は2024年12月期四半期決算で54.9%、2025年3月期四半期決算では19.5%となっており、それほど悪い数字ではありません経営陣は、増収率が予想を下回った理由として、エヌビディア[NVDA]のブラックウェル半導体の発売が遅れたことを挙げました。ブラックウェルは2024年末に生産が開始され、2025年第1四半期を通じて生産が拡大しました。そのため、スーパー・マイクロが「顧客のプラットフォーム決定が遅れた」と述べたように、3月期四半期はブラックウェルの入手が限定的だったことが要因となった可能性があります。しかし、経営陣は、今四半期の売上高が前四半期比30%増加するとの見通しを持っており、これはスーパー・マイクロにとってブラックウェル半導体が拡大するサイクルの始まりを告げるものです。## スーパー・マイクロは今後、どこに向かうのか2025年5月の決算発表から約1週間後、スーパー・マイクロはさらに好材料を得ました。サウジアラビアのデータセンター運営会社であるデータボルトとの複数年契約、総額200億ドルの契約を締結したのです。これはトランプ政権のサウジアラビアとの戦略的パートナーシップの一環として実現したものです。当然ながら、この発表を受けてスーパー・マイクロや他のAI関連企業の株価は急騰しました。2025年上半期の上昇にもかかわらず、スーパー・マイクロの株価は2024年の高値にはほど遠く、2026年の予想利益に基づく株価収益率(PER)は本稿執筆時点で16倍にとどまっています。これは高成長が期待されるAI銘柄としては割高とは言えませんが、スーパー・マイクロの不安定な成長や利益率への疑問、そして2024年の空売りの結果、投資家が買いをためらっていることがバリュエーションを制約しているのかもしれません。ブラックウェルの本格稼働に伴う業績の動向や、投資家のセンチメントが今後も回復を続けるのかどうかが注目されます。免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Billy Duberstein およびその顧客はスーパー・マイクロ・コンピューターの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。
【米国株動向】なぜ、スーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI]は2025年上半期に60%上昇したのか | モトリーフール米国株情報 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
モトリーフール米国本社 – 2025年7月13日投稿記事より
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、人工知能(AI)に特化したサーバーメーカー、スーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI](以下、スーパー・マイクロ)の株価は、2025年上半期に60.8%上昇しました。
スーパー・マイクロは2024年下半期に空売りを浴び、その後10月に監査法人が辞任するという、やや混乱した時期を経て2025年を迎えました。
BDOが決算を承認し、スーパー・マイクロ株が急騰
2025年2月にスーパー・マイクロの新たな監査人であるBDOインターナショナル(以下、BDO)が、過去3年間の決算書を承認しました。このことが同社の信頼性が認められたようにみえたこと、5月~6月にAIの成長に対する楽観論が台頭したこともあり、年初の低バリュエーションから株価を大きく押し上げました。
会計監査に当たってBDOは、スーパー・マイクロの内部管理と手続きに関して否定的な意見を提示しました。しかし、2022年、2023年、および2024年度の取引を実際に確認したところ、BDOはスーパー・マイクロの財務諸表について、「全ての重要な点において、会社の財政状態を適正に示している」と述べました。
つまり、スーパー・マイクロは、米国の上場企業として事務手続きの厳格さがやや欠けていたものの、不正があったという最悪の告発に対しては、明らかに問題はないとされました。その結果、株価は2025年2月初めに66ドルを超える水準に急騰しました。
エヌビディア[NVDA]のブラックウェル半導体の遅れの影響を受けた
しかし、株価上昇は短命に終わりました。トランプ米政権による関税戦争の影響を受けたためです。スーパー・マイクロは米国を拠点とするサーバーメーカーであることを誇りにしていますが、部品のサプライチェーンやパートナーである半導体メーカーは、非常に国際的です。そのため、スーパー・マイクロは多くのAI関連企業と同様に、株価が再び下落しました。
実際、スーパー・マイクロは、過去2回の四半期決算で売上げの伸びが予想を下回り、やや期待外れに終わりました。それでも、増収率は2024年12月期四半期決算で54.9%、2025年3月期四半期決算では19.5%となっており、それほど悪い数字ではありません
経営陣は、増収率が予想を下回った理由として、エヌビディア[NVDA]のブラックウェル半導体の発売が遅れたことを挙げました。ブラックウェルは2024年末に生産が開始され、2025年第1四半期を通じて生産が拡大しました。そのため、スーパー・マイクロが「顧客のプラットフォーム決定が遅れた」と述べたように、3月期四半期はブラックウェルの入手が限定的だったことが要因となった可能性があります。しかし、経営陣は、今四半期の売上高が前四半期比30%増加するとの見通しを持っており、これはスーパー・マイクロにとってブラックウェル半導体が拡大するサイクルの始まりを告げるものです。
スーパー・マイクロは今後、どこに向かうのか
2025年5月の決算発表から約1週間後、スーパー・マイクロはさらに好材料を得ました。サウジアラビアのデータセンター運営会社であるデータボルトとの複数年契約、総額200億ドルの契約を締結したのです。これはトランプ政権のサウジアラビアとの戦略的パートナーシップの一環として実現したものです。当然ながら、この発表を受けてスーパー・マイクロや他のAI関連企業の株価は急騰しました。
2025年上半期の上昇にもかかわらず、スーパー・マイクロの株価は2024年の高値にはほど遠く、2026年の予想利益に基づく株価収益率(PER)は本稿執筆時点で16倍にとどまっています。
これは高成長が期待されるAI銘柄としては割高とは言えませんが、スーパー・マイクロの不安定な成長や利益率への疑問、そして2024年の空売りの結果、投資家が買いをためらっていることがバリュエーションを制約しているのかもしれません。ブラックウェルの本格稼働に伴う業績の動向や、投資家のセンチメントが今後も回復を続けるのかどうかが注目されます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Billy Duberstein およびその顧客はスーパー・マイクロ・コンピューターの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。