ZORAが10日間で5倍に上昇――コンテントトークンの価値を徹底解説

初期ビジョン

この社内メモを最初に作成した時点で、ZORAはローンチしたばかりでトークン価格は急落し、プロジェクトのストーリーもまだ形成途上でした。

私たちが注目していたのはミームコインではなく、高速で繰り返し改善でき、オンチェーンでアテンションも収益化できるプロトコルでした。

ここ数年で、ZORAは単純なミントプラットフォームから独自L2インフラ上のプロトコル型プロダクトに進化し、さらにクリエイターが直接オンチェーンで収益化できるコンシューマーアプリへと展開しています。

初期段階から以下のような強みが際立っていました：

・製品イテレーションの速さ：AI生成コンテンツ対応、USDC決済統合、モバイル優先のユーザー体験

・バイラルな成長が見込める独自のクリエイタートークンモデル

・透明性と計測性の高いプロトコル収益モデル

・プロダクトやマーケット設計に精通したチーム体制

ZORAのオンチェーン機構は非常に効率的です：

・クリエイターはプラットフォームでコンテンツをミントし、ファンはそのトークンを購入して支援します

・全ての流動性がZORAトークンを通じて流れます

・トークンはZORA建てで価格付けされ、Uniswap v4上で取引されます

・各取引ごとにZora Labsが約0.25%の手数料を得ます

ピーク時、ZORAの年間取引量は約50億ドル、年間収益は推定600万ドルに上りました。大半の取引は公式アプリ外で発生していましたが、これは本質的な弱みではなく、参入チャンスと見ています。

Zoraの現状

ZORAトークン価格はTGE直後の高値を下回っていますが、プロダクト自体は進化し続けています。

クリエイタートークンは活発に流通し、好調な実績を記録しています。誰でも自身のクリエイタートークンをミントし、コンテンツトークンと連携できます。これらのトークンはボンディングカーブで価格設定され、ZORA建て＆即時決済となっています。

全体のユーザー体験はマーケットメカニズムを内包したTikTokのフィードのような構成で、アテンションを即座に収益化し流通させます。

コンテンツフィードとプロダクトUI

ユーザーエンゲージメントも堅調です：

・5件以上の投稿に関与したクリエイターの30日間リテンション率は11～27％（a16zではD30が25％ならソーシャルプロダクトの優良水準とみなしています）

・1人あたり月間投稿回数は1ヶ月目3件→4ヶ月目10件と増加傾向

ペアリング型価格モデルはエンゲージメントを加速させ、その仕組みはVirtualsにより最初に導入されました。

各トークン取引には以下が関わります：

・クリエイター

・購入者

・Zora Labsチーム

・ZORA自体

リファラル招待、トップホルダーのコメント固定、投稿収益化機能などにより、クリプトネイティブなアテンションエコノミーが着実に形成されています。

本格的なプロトコル収益を持つ消費者向けアプリです。

Zoraは流通課題を着実に克服しつつあります。

現在、Zoraは公式アプリTBDでBaseと強力に統合されています。このアプリはTikTok風のUIを採用し、Zoraプロトコル基盤上にダイレクトに構築されています。

今や単なる収益化ツールではなく、フルスタックの基盤プラットフォームへと進化中です。チームは自社エコシステムを6つのコアピラーに要約しています：

・組み込みシェア機能：外部SNSでのシェアを促進するユーザーフロー

・クリエイターインセンティブ：音楽、ファッション、ライフスタイル、ミーム分野の中堅層（TikTokフォロワー1万人未満、Instagram 5万～6万程度）向け100万ドル規模ファンド

・ユーザー成長マーケ：TikTok等での有料プロモーション

・トークンインセンティブ配分：TGE配分の20%をトレード報酬やコミュニティインセンティブ等へ活用

・イベント・メディア：ポッドキャストやイベントにより暗号・クリエイターコミュニティへアプローチ

・開発者エコシステム：BaseやNoice等が新機能開発・Zoraプロトコル強化に取り組み

今TikTokで「Zora」と検索してもほぼヒットしませんが、適度な取り組みでもソーシャルメディア拡大の可能性はまだ大きく残っています。

オンチェーン指標

Dune Analyticsによれば、Zoraの完全希薄化後の時価総額は現在約2.5～3億ドル、年間取引量のピークは18億ドルです。現状プロトコルは1%の取引手数料を設定し、約0.25%がZora Labsに分配されています。ピーク時には年間プロトコル収益は1,800万ドルに達しました。

7月時点で、年間取引高は約5億9,400万ドル、日次アクティブクリエイターは4,000～7,000人です。プロダクトの完成度や経済モデルから、今後12ヶ月でクリエイター数は10～100倍に増加できると見込んでいます。

詳細はDuneダッシュボードをご参照ください：https://dune.com/socialgraphvc/dollarzora

Zora Labs = R&D

暗号資産業界では、プロトコル自体と開発チームのどちらに本質的価値があるのかが常に議論されています。

私たちはZora Labsの公式な立場ではありませんが、度重なる意見交換から、Zora Labsの収益は本質的にR&D（研究開発）予算として機能していると考えています。

各取引ごとにLabsに割り当てられる0.25%のプロトコル手数料は、単なる収益抽出に留まらず、下記用途の原資となっています：

・クリエイター向けツールの継続的アップデート

・ユーザー拡大のためのインフラ整備

・エコシステム実験の推進

・モバイル・Web全体でのユーザー体験最適化

Zora Labsがユーザーの定着強化、優れた収益化モデル、プロトコル流動性の拡充を進めれば、ZORAトークンの長期価値向上に直結すると確信しています。

Zora Labsは運営コストである一方で、明確な成果を継続的に上げています。

広告はZoraの優位性になり得るか

広告はZoraにとって最重要かつ最大の課題の一つです。

現時点でブランドはZoraのコンテンツトークンエコノミーに本格参入していませんが、間もなく大きな機会が訪れると見ています。

Zoraがトークンメカニズムを活用し、広告主（ブランド）が投稿スポンサー、コンテンツトークン保有、インフルエンサーの影響力増大などを直接実現するネイティブ広告システムを構築できれば、エコシステムは自立した持続型アテンション経済へ進化します。

トップホルダーによるコメント固定

ZoraクリエイターBalajiによる広告の視点

既に初期のプロトタイプが登場しています。例えば、最大保有者が投稿にコメントをピン留めできる機能は、広告枠の原初的な形態です。今後はこの仕組みが、ブランドによる投稿販促やパートナーシップキャンペーンを実現する完全なブランドマーケティングチャネルへ発展する可能性があります。

Zoraがこのビジョンを具現化すれば、従来のバナー広告やポップアップではなく、ブランド資本がトークンシステムへ直接流れ込む仕組みが構築されます。

私たちは、この実現に向けて着実に進むと見ています。

チームについて

ZoraのチームはCoinbase出身者を中心とする高度な専門性を持つ集団で、Web2とクリプトの融合や、コンテンツ収益化の新たな手法を開拓し続けています。

ボンディングカーブを応用した価格モデルや、コンテンツ主導のトークン化、リファラルインセンティブなど数々のイノベーションを生み出し、ソーシャル・クリエイター経済×収益化モデルのパイオニアとして、オープンなプロダクト実験と高速イテレーションを重視しています。主なメンバーは以下の通りです：

・Jacob Horne（共同創業者・CEO）：元Coinbase USDC・Coinbase Venturesプロダクトマネージャー。EthereumやDeFiに精通し、クリプト市場設計・NFT・クリエイターエコノミー分野に強み。2019年よりZoraを牽引。クリプトファッション分野にも初期から参画。

・Dee Goens（共同創業者）：元Coinbaseマーケティング部門、NFTブームの主要メンバー。Zora初期コミュニティ戦略やパートナーシップを構築、マイノリティクリエイターのエンパワメントに情熱。

・Tyson Battistella（共同創業者・CTO）：Zoraの技術部門リーダー。元Coinbaseスマートコントラクトアーキテクトで、ミンターやL2ソリューションなどプロトコル基盤の設計・実装を担当。

トークノミクス

Zoraトークンは2025年4月23日（TGE）に公式公開され、総供給100億、ピーク時価総額6億ドル。Haun Ventures等が出資。

配分内訳：
・戦略投資家：26.1%（26.1億）
・チーム：18.9%（18.9億）
・コミュニティインセンティブ：20%（20億）
・トレジャリー：20%（20億）
・エアドロップ：10%（10億）
・流動性：5%（5億）

ベスティングスケジュール：
・エアドロップ＆流動性（15%）：TGE時に全量解除
・コミュニティインセンティブ（20%）：TGEで全量解除、エコシステム成長・報酬用途
・チーム＆戦略投資家（45%）：TGE後6ヶ月クリフ、2025年10月23日から36ヶ月かけて線形解除
・トレジャリー（20%）：同10月23日より48ヶ月間で線形解除

まとめ

ZORAの市場価格はまだ回復していませんが、オンチェーンアクティビティ、コンテンツ連携、クリエイターのリテンション、プロトコル収益は着実に強化されています。

Zoraの価値はトークンローンチや一時的な話題性に留まらず、コンテンツミントモデルを通じてアテンションエコノミー全体へ持続的な収益化の道筋を示しています。

クリプト領域の消費者アプリケーションの中で、Zoraは最も将来性の高い長期的機会の一つだと確信しています。

免責事項：

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