19億ドル規模のイーサリアムアンステーキングが発生:これは利益確定か、エコシステムの新たな幕開けか?

中級7/28/2025, 5:42:02 AM
現在、Ethereumネットワークでは52万ETH超が出金待ちの状態となっており、市場では一部で売り圧力への懸念が広がっています。本記事では、これらの出金が行われる背景として、利益確定をはじめ、機関投資家によるポートフォリオ調整や、LST(リキッド・ステーキング・トークン)を活用したアービトラージ機会など、多角的な観点から詳細に分析します。各種データからは、この動きが単純な売りではなく、エコシステムの再構築や機関投資家のさらなる参入を示唆していることが読み取れます。

ブル相場には必ずFUD(不安・不確実性・疑念)がつきまといます。

本日は、ETHの価格動向に対する懸念を再燃させる事象が発生しました。

イーサリアムネットワークでは、バリデータがステーキングしたETHの引き出し待ちに並んでいます。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)型の主要プロトコルであるイーサリアムにおいて、ETHステーキングはきわめて重要な役割を担います。ネットワークのセキュリティ確保に加え、ステーキング参加者に利回りを提供し、ETHの流動性をステーキングプール内にロックする仕組みです。

しかし、Validator Queueのデータによれば、7月23日時点で解除待ちとなっているETHは約521,252ETH(現行価格で約19億3,000万ドル相当)に達しており、引き出しまでの待機期間は9日1時間超と過去最長レベルです。

これは過去1年間で最長となるバリデータの退出キューです。

バリデータ1つあたり通常32ETHをステーキングしていることから、理論上は1万6,000以上のバリデータが退出を申請している計算となります。大規模なアンステーキングの行列が不安を呼ぶのも無理はありません。

利益確定か?

クジラや機関投資家は、ETHの利食い売りを準備しているのでしょうか。

直近のETHアンステーキング急増には、ここ最近の価格上昇が一因とみられています。

ETHは2025年4月初旬の安値(約1,500~2,000ドル)から160%の急反発を記録し、7月21日には過去7か月で最高値となる3,812ドルに到達しました。

このような急騰局面では、初期からのステーカーを中心に一部投資家が好機と判断し、保有分の利益確定に動く傾向があります。

こうした動きは過去にも見られました。

2024年1~2月にはETH/BTCの価格比率が1週間で25%上昇し、同様のアンステーキングの波とETH価格の一時的な10~15%下落を引き起こしました。同時期にはセルシウスの破産清算で46万ETHが短期間に引き出され、バリデータの退出キューも1週間ほど混雑しました。

直接的な売り圧力ではない

ただし、今回はETHの長期退出キューや大規模な引き出しが発生しているにもかかわらず、それがストレートな売り圧力とは限りません。

まず、Validator Queueのデータによれば、7月23日時点でアンステーキング待ちとなっているのは52万ETHですが、同期間中に36万ETHが新たにステーキングされています。

このような相反するフローにより、ネットでイーサリアムから流出するETHの正味量は大きく縮小しています。

加えて、機関投資家の資金流入が下支えとなっています。

7月22日には、現物型ETH ETFへの機関からのネット流入がオープン市場で31億ドルを記録し、同日アンステーキング待ちとなった52万ETH(約19億ドル)を大きく上回っています。

この流入額は1日分のETF流入に過ぎず、バリデータの退出申請にかかる9日間の遅延は反映されていません。

アンステーキングが即座の売却を意味するとは限りません。

現状のETH強気相場では、アンステーキングの大半は機関がカストディアンの乗り換えや財務戦略の調整など、より高い利回りを求めてETHを新たな管理先に移す動きによるものと考えられます。

オンチェーンでは、アンステークされたETHの多くがDeFiやNFT活動に転用されているケースも多く、例えば担保用途や、クジラによるCryptoPunksフロアの一斉買いなどが挙げられます。

リキッドステーキングトークン(LST)の価格乖離も頻繁に発生し、直近ではstETH/ETH比率が0.996(約0.04%割引)まで低下、weETHでも同様の動きがみられました。アービトラージャーは割安なLSTを買い戻し、パリティ回復時に利益を得ることで、ETH需要を押し上げています。

総じて、今回のアンステーキングの多くはイーサリアムエコシステム内での内部リバランスであり、市場全体の売却を示唆するものではありません。

SNS上ではさまざまな噂が広がっていますが、大量のアンステーキングが必ずしも売り圧力を意味しない一方で、所有権の移転、つまり「バトンの受け渡し」が進んでいる状況です。

一部では、暗号資産のメインストリーム化を推進するブラックロックが、ETHの新たな機関投資家主導役となっているという見方もあります。7月時点でブラックロックは200万ETH超(推定69~89億ドル相当)を保有し、全発行量(約1億2,000万ETH)の1.5~2%にあたります。

これは公に開示されているETF資産運用であり、機関による「オープンリーダーシップ」の表れです。ETF通じてポジションを拡大・集約し、機関投資家のETH導入を促進する狙いであり、市場操作ではありません。

イーサリアムがコミュニティ主導の合意形成から、広範な金融ツールに進化する中、ウォール街が大規模な動きを見せる用意が一段とはっきりしてきました。

こうした論理も十分妥当です。実際、ステーキングとアンステーキングはETH所有構造の再編の一環と見てよいでしょう。

最終的に、イーサリアムの成長は引き続き暗号資産業界におけるリーダーシップを支えます。今回のアンステーキングの波は、新たなサイクルの始まりを告げているのかもしれません。

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